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ロックの材質について

ロック&セキュリティPart27

53 :研究者:2005/04/03(日) 10:45:02 ID:A8Fno08o
   皆様初めまして・私は「某重工業の金属系研究室」に在籍する者です。
   それとサイクルロック材にも興味がありまして、
   アブス等のチェーン(一番高級なモノ)の 材質、硬さ、組織、等を調査したことがあります。
   皆様の情報が錯綜している様なので、その結果の一部をここで投稿したいと思います。
   色々面倒ですので「アブス等」チェーンの硬さを公表します。
   これらチェーンは「浸炭処理」を施して、表面硬度を0.5~1mmの深さまで上げています。
   (この理由は勿論、金鋸とチェーンカッター対策ですね。)
   その浸炭硬さはHVで(すみません私たちの研究室はビッカース硬さ計しかないモノで・・)
   Hv=630~750!!!(メーカーにより違います。)HBやHRCへの変換は各自で・・・
   ちなみに浸炭していない母材の部分もHV=390~450(メーカーにより違います。)ありました。
   メーカーによってはさらに「100ミクロンの硬質クロムメッキ」を表面にしている所もありました。
   これでもこれらは「破壊」されています。・・・・これが事実です。・・・・
   本当にこれらロックに必要な特性は「靭性」であり、それは一般的に「引っ張り強度」に依存します。
   そう考えた場合、「SNCM439」当たり一番良いのですが(この材質の元々の使用目的を知ると理解できます。)
   これは「高カーボン鋼」のため「溶接割れ」が発生します・・・・ つまりこれでチェーンを作ると溶接部よりぽっきり・・・・・・
   色々考えた場合「非常に最適な金属材質」が有ったのですが。これでチェーンを作る事はできないと思いますから、
   「絵に描いた餅」です。(価格は市場で普通のNi-Cr系ステンレス鋼のほぼ15倍、構造用合金鋼の30倍)
   結論!「太いモノが一番良い!」・・・以上です。


84 :研究者:2005/04/03(日) 18:52:32 ID:A8Fno08o
   材質の強度の評価は金属の場合「引っ張り強度」で評価します。
   他に「シャルピー試験」という「衝撃吸収エネルギー」を測定して、金属の評価を行う事もあります。
   本来なら「金属の靭性評価」はシャルピーあたりでの評価が正しいのですが、評価基準が難しくあまり一般的ではありません。
   ちなみに「切断破壊」とは金属の場合基本的に「引っ張り破断」です。
   これはこれら金属の切断破面をSEM当たりで見ると解るのですが、最終破断面に「ピット」という 現象が出ます。
   これは引っ張り試験を行った場合に出てくる現象です。ですから、金属の規格は基本は硬さ(これも結果引っ張り強度になります。)
   と引っ張り強度(これには耐力も含まれます。)が規定されています。
   蛇足ですが、「曲げ強度」というヤツも破断部分は「引っ張り」で破断しています。
   アブスが引っ張り強度を表示しているのもこういう理由です。市販品についての材質については、詳しくは述べられませんが
   18-8ステンレス系より遙かに引っ張り強度が強いモノを基本的に使用しています。
   しかも「浸炭」が効く鋼材を使用して強烈に表面強度を上げているのも、よく考えています。しかし、
   「その市販品の絶対的な『破壊強度』(ここで破壊と書いているところがミソです。」は思ったより低いと思って良いと思います。
   つまり「優秀な材質で細い線径」より「一般的チェーン線材でもφ20mmも線径がある」 方が遙かに破壊しにくいということです。
   ちなみにアブスの場合破壊強度は10トン以下です。窃盗団の破断工具は・・・・・・


85 :研究者:2005/04/03(日) 18:55:58 ID:A8Fno08o
   追記で申し訳ありません。
   私が測定したサイクルロック素材は、素材を切断して断面を樹脂埋め研磨して、鏡面状態にして、
   それをありとあらゆる部分についてビッカース測定を 行っています。
   一般的な「ボイラー、タービン素材」の素材硬さを測定する方法です。


169 :774RR:2005/04/04(月) 03:46:42 ID:yx9WIVUh
   シャルピー衝撃試験なんて懐かしいのが出てきたな。susの低温脆性だっけ?
   油圧カッターによる破壊を引っ張り試験で評価しているようだけど、どうなんだろ。
   カッターでの破壊はせん断強さに依存すると仮定したらちょっと的外れな気もする。
   塑性域での破壊って単純に引っ張り強さだけでは評価できないのでは?
   転位とかすべりとか、詳しいことは忘れたけど破断面を確認して見ないとねぇ。
   アブが10t以下ということだけど、キトーの鎖の破壊強度1000[N/mm^2]で線形12.5mm なら比較にならないよねぇ。
   (SI単位系に換えてくださいね)表面硬度は関係ないといってるけど、
   厨房対策としてディスクサンダーによる切断を考慮すると、表面硬度も必要なんじゃない?


214 :研究者:2005/04/04(月) 20:33:27 ID:YvDSFfQy
   ちょっと、皆様勘違いをしている部分があるので、もう一度書きます。
   切断=せん断ととらえられやすい(私も当初はそう思っていました。)のですが、
   私は「実際に切断された物」をSEM(電子顕微鏡)観察を 行った結果断言させてもらうのです。
   「この場合の切断での破壊は引っ張り破断だ。」と・・・・
   想像でも、推論でも又聞きでもなく「事実を見た結果」なのです。
   又、他のサイクルロックメーカーもみんな破壊強度1000[N/mm^2]を「引っ張り強度」として公表しています。
   (たぶん「キトー」もそうでしょう)
   それとアブスの10トンは「破壊荷重」の事です。決して「単位断面積当たり荷重」では有りません。
   (皆様お間違えなく・・・・それと、この荷重を出すための試験方法は、「破壊方法」となりますのでここでは控えさせて頂きます。)
   それと、表面硬度は「サンダーや金鋸対策」としては非常に有効ですが、
   「引っ張り等の力学的破壊」についてはこの場合、それほど有効では有りませんでした。(これも事実です。)
   最後ですが、私は漠然と「ロックは太い方がよい」と言っている訳ではありません。
   単純な話、引っ張り強度の54kgf/mm2(すみませんね。頭が昔の頭で・・・)の材質(一般的なSUS材)と
   150kgf/mm2の高強度材(SNCM当たり)だと、その破断荷重(kgf)を一致させるには
   断面積をおのおのどれだけにすれば 良いか?という事なのです。
   サイクルロックで一番必要なのは「強度(単位断面積当たりの荷重)」ではなく
   「破壊荷重(単純に破壊する時に必要な荷重)」なのです。
   だから「単なるチェーン鋼(低クロム高)」でも線径を太くすれば「破断荷重」は「高強度鋼を使用した細いチェーン」以上になる。
   ということです。・・・・勿論そんな太いチェーンも「金鋸、サンダー」での切断対策を施さなければなりませんが・・・・
   後は、皆様で色々お考えください。ネット上にいろいろな鋼材の特性も出ていますし
   「硬度と強度は金属の場合相関関係がある」という事も有りますし・・・ ・・・・以上です。


775 :774RR:2005/04/15(金) 19:34:56 ID:LJLcbhWi
   結構前に、衣川製鎖さんから購入しようと思って、質問したことがある。
   衣川のかてーなに使われてる素材の元となる金属棒を万力で完全に固定した
   切断にベストの状態で、金ノコで切断試験をしたら、一本切るのに約10分かかったって。
   途中で刃こぼれするので、刃の交換も必要だったらしい。
   製品だと、固定できる環境を作るのは難しいから、その倍以上は かかる上に、
   2カ所切断しないと切り離せないので、軽く20分以上 かかることになる。
   衣川さんとのやりとりの結果、納得した上で、自宅用にかてーなを 買った。
   駐車場で20分以上金ノコ使われたら、さすがに寝てても気付く。








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